動物農場 おとぎばなし 岩波文庫版2009/07/18 23:43

待望の翻訳本、ようやく刊行された。
川端康雄訳
http://www.bk1.jp/product/03130430
(角川文庫クラシックスに、既に翻訳がある。こちらで長年愛読してきた。http://www.bk1.jp/product/00035423

カバー裏には、こうある。

引用始め

動物農場
「すべての動物の平等」を謳って産声をあげたアニマル・ファーム動物農場。だがぶたたちの妙な振舞が始まる。
スノーボールを追放し、君臨するナポレオン。
ソヴィエト神話とスターリン体制を暴いた、『一九八四年』と並ぶオーウエルの傑作寓話。
舌を刺す風刺を、晴朗なお伽話の語り口で!

引用終わり

「ソヴィエト神話とスターリン体制を暴いただけ」であれば、とっくにこの本、忘れさられていたのではないだろうか。
「ツアー体制を打倒した、革命家達による政権が、結局は、旧体制に代わって、国民の抑圧・支配を継続する。」ことだけが書かれているわけではないだろう。
このお話、かつてアメリカCIAが、資金をだして、イギリスでアニメにして、反ソ連キャンペーンを狙った過去がある。今や、ブーメラン現象。資本主義国家における「政権交代」のいんちきさをこそ描いているように読める。
2008年のアメリカ大統領選挙で起き、この夏、日本で、これから起ころうとしている政権交代なる、恐ろしい現実に、個人的には、読み替えている。動物農場における、支配者の交代と同様に、支配者の交代だけで終わってしまうという未来だ。つまり、

「すべての動物の平等」を謳って産声をあげたアニマル・ファーム動物政府。
だが民主ぶたたちの妙な振舞が始まる。

これだけぞっとする古典スリラー?が、わずか560円+税。
しかも、岩波版、詳細な注だけでなく、付録1 出版の自由 付録2 ウクライナ語版のための序文、まで入っている。

「出版の自由」、日本のマスコミにもそのままぴったりあてはまる。