核クラブにようこそ ノーマン・ソロモン2006/10/10 20:43

核クラブにようこそ
ノーマン・ソロモン

北朝鮮の核実験について聞いた直後、「秘密もなければ、防御法も無い。世界の人々の目覚めた理解と主張以外に、核を管理する可能性はない。」というアルバート・アインシュタインの発言を思い出した。

アインシュタイン発言から60年間の経験は、そのような理解と主張が、偽善の格子を超えて浸透できないことを示している。「我々のする通りにではなく、我々の言う通りにしろ。」と言うことによって核兵器を管理することはできないのだ。自分の核兵器を開発することで、様々な国が次々に核兵器を装備した国家に答えてきた。「あんたがなんと言おうと、俺たちはあんたがやるようにやるぜ。」

初夏、ワシントンの役人が、鳴り物入りで、最後のW56核弾頭の廃棄を宣言した。1960年代からの1.2メガトン・モデルだ。自画自賛の気分が漂い、宣言は声高に叫んでいた。「わが国の核兵器備蓄の規模を国家の安全上必要な最低レベルに引き下げるという我々の断固とした公約です。」これは核時代が始まって以来ずっと聞いてきた慰めの宣伝文句にすぎない。

現在アメリカ政府は弾薬庫に10,000発以上の核爆弾と核弾頭を持っている。さらにワシントン・ポストがW56核弾頭廃棄の発表と同じ週に、無批判に報道したように、高信頼性置換弾頭プログラムという旗幟の元、議会とホワイト・ハウスは断固として「アメリカ核兵器の新世代」計画を進める予定だ。「我が国の二つの核兵器設計センター、ロス・アラモスとローレンス・リヴァモア国立研究所が、最初の高信頼性置換弾頭プログラムの設計を競っている.... 二番目の高信頼性置換弾頭プログラム設計コンペでは、最初の競争で負けた研究所に機会を与える予定である。」

50年以上にわたって、ワシントンは「平和な」原子炉の包括的な効用を説教してきた一方で、それが内在する膨大な危険と核兵器の増殖における重要な役割を否定してきた。否定とは、ウラン採掘から核廃棄物に至るまでの核燃料サイクルに終始伴って、人々と環境が被害を被るということだ。1979年のスリーマイル・アイランドの災害の後、いまだに続いているチェルノブイリの災厄が起きた。

ここ数十年、この否定によって、地球上いたる所に核兵器が拡散さいた。イスラエル、インド、パキスタンと、北朝鮮は、核戦力という教義の伝道者と、彼らに同伴して、核兵器を開発する能力を注ぎ込む技術上のパイプラインという核兵器輸出で暴利をむさぼる連中に感謝すべきだろう。

1953年12月8日の国連総会におけるドワイト・アイゼンハワー大統領の妄想的で欺くような演説は今や死の舞踏の響きを持っている。「アメリカ合衆国は、皆様の前で、従って全世界を前に、恐ろしい原爆のジレンマを解決するという決意を、人間の驚異的な創造力が、その死ではなく、その生に捧げられる道を捜すべくすべての心を捧げることを、誓います。」

「平和な原子力」という虚偽の経歴と並行して、アメリカの海外政策は過去数年間、最低記録を示している。存在しない大量破壊兵器を口実にしたイラク侵略は、強力なメッセージを送っている。もしもアメリカ政府は、ある国がキノコ雲を生み出す能力を持つ前に攻撃したくなるというのであれば、どの国も核兵器をできるだけ早く開発することでそうした攻撃から防御出来るのだ、と。

真摯な外交の軽視とともに、ブッシュ政権が繰り返し示している軍事的な力を用いるというワシントンの熱望が、北朝鮮との核兵器の謬着状態という危険に油を注いできた。ブッシュ政権の二つの神聖な公理、秘密と暴力によって、この問題を解決することはできず、実際、悪化させるだけなのだ。アインシュタインは正しかった。核兵器には「秘密もなければ、防御方法も無い。」

「世界の人々の目覚めた理解と主張」については私たちから始める必要があろう。今すぐ始めるのだ。

ブッシュ大統領が月曜日ホワイト・ハウスの演壇で北朝鮮の核実験を「挑発的行動」だと非難している間、この危機を「テロに対する戦争」に結びつけ、修辞で飾った猛攻撃をするための計画を微調整すべくカール・ローブが奮闘していることは確実だ。ブッシュはすでに、もしも北朝鮮が核に関する技術を「いかなる国家なり、非国家主体」に与えれば「アメリカ合衆国に対する重大な脅威」となるという警告を発言することによって、そうした工作の為の下準備をしている。

今後四週間の間、共和党が議会において多数派の議席席を失うことに歯止めをかけるべく、北朝鮮の核実験を活用してブッシュ政権は最善を尽くすだろう。ブッシュの無謀な過去の実績がどのように、あらゆる人々にとっての核の危機を高めてきたかということを、そうした工作で誤魔化すのを許してはならない。

http://www.commondreams.org/views06/1009-36.htm